マダラとスケトウダラの違いとは?特徴と活用法まとめ
魚編に雪と書いて「鱈(タラ)」。タラは鍋料理に欠かせない冬の魚です。タラには「マダラ」と「スケトウダラ」の2種類ありますが、それぞれの違いってわかりますか?この記事では日本でなじみ深い2種類のタラについて、違いや特徴、活用法やレシピについて解説します。
ダントツの北海道:鱈の国内漁獲ランキング
令和2年(2020年)の都道府県別のたらの漁獲量(水揚げ量)と割合は全国計で216,631トン。トップは北海道の199,742トンでシェアは92.2%。2位は青森県で2.3%、3位は岩手県で2.3%のシェアとなっており、圧倒的に北海道がトップです。タラは冷たい海を好む北海道の魚、北国の魚と言えます。
深く冷たい海域を好む:タラが生息域
タラの生息域は、太平洋側は茨城県以北、日本海側は山口県以北に生息しており、生息場所は、水深200メートル前後の大陸棚や、その斜面の岩礁域に生息し、日本近海では水深150メートル付近に多くなっています。関東以南の太平洋側や四国・九州ではほとんど獲れません。ちなみに海面から海底に向かって深海の入口である、水深200メートル地点で、太陽光は海面の0.1%しか届かず、タラは真っ暗な海で暮らしているのです。
大きな口で何でも食べる:鱈腹食べる大食漢のタラ
タラにはマダラとスケトウダラの2種類がおり、一般的にタラといえばマダラを指します。マダラは身が引き締まってプリプリとしており、スケトウダラはクセの少ない白身で水分が多くやわらかいのが特徴です。通常、マダラは大きくスケトウダラは小さめなので、細部を見なくても見分けられますが、マダラの下あごには1本のヒゲがあり、スケトウダラにはヒゲがありません。タラの成魚は口が大きく何でも食べる大食漢として知られ、「たらふく食べる」とは「鱈腹」の字が当てられます。
寒い冬に欠かせない鍋の定番:タラちり鍋
身はいたって淡白な味わいなのに対し、卵や白子は味わい深く、むしろこちらの方が珍重されています。マダラの食べ方はちり鍋などに用いられるほか、西京味噌やだし醤油、塩漬けにして焼いて食べます。一方スケトウダラは鮮度の良いものを薄く味付けした「三平汁」「ちり鍋」「昆布〆刺身」などにします。また蒲鉾やちくわなどのいわゆる「練り物」の原料になります。
マダラにしてもスケトウダラにしても、鍋にする際には「頭」が一番のご馳走です。タラの頭部には美味しい身がたくさんついていて、北海道の漁師は頭を好んで食べます。決して捨てるようなことはしません。
タラの美味しいところは?淡白な身より卵、白子が人気
マダラの卵は粒が大きく、つきコンニャクと炒めて食べ、白子の「タチ」は湯通ししてポン酢で食べたり、汁物にして食べます。スケトウダラの卵はたらこや辛子明太子に加工され、白子は汁ものにして食べるのが人気です。タラコはさらにパスタに和えたりおにぎりの具としても絶大の人気を誇ります。
獲れるのは北海道なのに:九州に多いタラの名物料理
北海道、東北で獲れるタラですが、意外にタラの獲れない九州に名物料理が多くみられます。何といっても筆頭は福岡名物の「辛子明太子」でしょう。スケトウダラの卵を塩漬けにした「タラコ」。そのタラコを唐辛子で味付けた辛子明太子は福岡県の名物ですが、北海道最北端の宗谷のタラコで作られています。
さらにタラの胃袋とエラで作る「たらおさ」は大分県の名物です。地元の人にとってはエラのコリコリとした食感や胃のもっちりとした食感にやみつきになり、なつかしいふるさとの味として親しまれています。
銀ダラの正体は?同じタラでも赤の他人です
もう一つのタラ「銀ダラ」はよく聞く魚ですが、こちらはタラ科の魚ではなくカサゴ目ギンダラ科の魚で、むしろホッケに近い仲間です。銀ダラには、たらのような口ひげはなく、皮は濃い黒色で目が銀色に光っています。脂がのった美味しい身の焼き魚で、北海道ではマダラ、スケトウダラより高値で取り引きされます。
気になる漁獲量の減少傾向:資源保護対策が急務
2000 年に 1 万トンを下回った後、2011 年までは徐々に回復しましたが、2012 年漁期以降は再び減少に転じました。2018 年は過去最低の 4,198トン、2020 年は 4,813 トンでした。
スケトウダラの漁獲量が減少しているのは主に次のような理由が考えられます。
- 海洋環境の変化によって、親魚から産まれた卵の生き残る確率が低下した
- 漁獲対象となる資源が減少したことに気づきが遅れ、漁獲量を維持しようとした結果、獲り過ぎとなって親魚がさらに減った
- 乱獲(未熟で小さいうちに魚をとってしまう「成長乱獲」と、産卵する親魚をとってしまう「加入乱獲」)
- 環境汚染や気候変動
上記のことから,日本海スケトウダラが復活するためには
- 加入量を早期に把握し,資源予測の精度を高めること
- 適切な資源管理により親魚資源を獲り残していくこと
- 海洋環境の好転により生み出された卵が多く生き残って加入量が増加すること
これら3つの対策が求められます。
まとめ:タラのちり鍋で芯から温まりましょう
北海道の冬の風物詩といえば、旬の魚「タラ」。雪のように白く、淡泊でありながらも寒さが増すほど身が締まり、この時期はタラを主役にした鍋料理がおススメ。白菜やダイコン、ニンジンなどの野菜、豆腐などの具材を一緒に煮込んで、タラから溢れる旨味が出汁に染み込み、体の芯まで温まります。食卓を華やかに彩り、家族や友人と一緒に心温まるひとときをどうぞ。