ハナイグチとは?北海道の落葉きのこの魅力と調理法

ハナイグチとは?北海道の落葉きのこの魅力と調理法

ハナイグチ(Suillus grevillei)は北海道では「落葉(らくよう)きのこ」と呼ばれ、カラマツ林が多い北海道では庶民にもなじみ深い野生のキノコです。本稿ではハナイグチの生態や魅力、美味しい調理法などについて詳しく語っていきます。

秋のカラマツ林で採れるハナイグチの風味と食感

ハナイグチはカラマツ林に自生するキノコで、日本の高原地帯や山間部を中心に見られます。特に、北海道や東北地方、中部、北陸地方のカラマツ林でよく見られることから、キノコ採り愛好者に親しまれています。秋の季節に入り、カラマツが美しい金色に変わり始める頃に最盛期を迎えるハナイグチは、その独特の風味とぬめりのある柔らかい食感で多くの人に親しまれています。

ハナイグチの別名と広がる地域ごとの食文化

ハナイグチは地域によって異なる名前で呼ばれ、たとえば北海道では落葉(ラクヨウ)キノコと呼ばれていますが、ほかにも「アミコ」「カラマツイグチ」「ジコボウ」など、地方によってさまざまな呼び名があります。それだけ分布が広いということになります。古くから人によって採取され、それぞれの地域に根差した食文化として食べ継がれている自然の恵みです。

初心者向け!ハナイグチの簡単な見分け方と特徴

山で採取する際の見分け方は意外とわかりやすく、初心者向けと言っていいでしょう。見分け方としては、まず色と形で判断します。まず何といっても大きな特徴は光沢のある褐色の傘、そして傘の裏がスポンジ状になっているかをチェックしましょう。多くのキノコは傘の裏側がひだ状になっているのに対し、ハナイグチは鮮やかな黄色のスポンジ状になっています。ハナイグチは独特の甘い香りを放つため、臭いでも判別することもできます。

カラマツ林とハナイグチ:共生という深い関係

北海道ではカラマツのことを「落葉」と書きます。「落葉」と書いて「カラマツ」と呼ぶのです。カラマツは日本産針葉樹の中では、唯一の落葉樹で、日本のほぼ中央部に分布の中心を持ちます。もともと北海道にはありませんでしたが、1960年代から大規模な造林が行われました。また畑の作物を強風から守る防風林や並木道としても植栽され、北海道の風物詩にもなっています。

カラマツ林が色づき始めるころになると、冬の足音を告げるかのようにこのハナイグチが登場します。実はハナイグチはカラマツ林にだけ生えるキノコ、つまり共生関係にあるのです。比較的樹齢の若いカラマツ林に多いといわれ、老木のカラマツ林にはあまりハナイグチは生えません。若いカラマツといっても、若すぎてもキノコは生えず、最低でも樹齢15年以上のカラマツ林が必要です。キノコ採りの上級者は樹齢も考慮して探し当てます。

安心して食べられる天然キノコ・ハナイグチの魅力

「天然のキノコは怖い」「毒キノコと間違えて食べたら大変」など、敬遠されがちですが、ハナイグチには似ている毒キノコはほとんどないので安心です。スーパーで売られている栽培されたシメジやエリンギ、シイタケ、マイタケ、マッシュルームなどは当然毒はありませんが、ハナイグチやマツタケなどの「菌根性」のキノコは栽培できません。菌根性のキノコは樹木の根に菌根を作り、樹木と共生する形でなければ発生できないのです。ハナイグチは数少ない「安心して食べられる天然キノコ」なのです。

ハナイグチの下ごしらえ方法と旨味を保つコツ

ハナイグチの下ごしらえにはコツがあります。表面にぬめりがあるので、松葉がたくさん付着しています。これを水でじゃぶじゃぶ洗い流すのは絶対やめてください!せっかくの旨味が流れ出てしまいます。手で丁寧に取るか濡れた布巾で軽くこすって落とせばOKです。必ず火を通して食べるので、衛生上は問題ありません。石突(茎の下の硬い部分)を取れば、すぐに調理できます。

ハナイグチを使った和洋折衷レシピと調理法

レシピはみそ汁の具が一般的ですが、ほかにもネットで探せばたくさん出てきます。クセがなく美味しい出汁が出ることから、どんな料理にも対応できるので、和洋折衷(特に和食)どんな料理にしてもおいしくいただけます。みそ汁のほかは、湯がいて大根おろしや長ネギを入れ、麺つゆやポン酢で食べる方法も人気です。さらにパスタやラーメンの具にもピッタリです!

ハナイグチの入手方法と減少する背景について

ではハナイグチをどこで手に入れればいいのでしょう。キノコ採りや山菜採りなど、山歩きする人に教えてもらうというのも手ですが、そういった人はあまり身近にはいませんよね。山で採取したものがスーパーで売られていることもありますが、樹木が老木になって採れなくなったり、乱獲で激減し、最近はめったに見かけなくなりました。最近ではまれに野菜直売所、道の駅などで販売されていますが、ごく少量です。

北海道の豊富なカラマツ林:ハナイグチの共生関係

北海道の森林面積は554haで、全国の森林面積の約1/4を占めています。うちカラマツ人工林の面積は46万5,000ha(1995年)です。カラマツは成長が速く病気や野ネズミの食害などにも強い樹木。木材としても強度があり、比較的廉価なため、需要が高く、伐採後も同じカラマツを植林するケースがほとんどです。これらのことが要因となり、共生するハナイグチも豊富に採れるということです。

まとめ:北海道産天然ハナイグチをネットで手軽に購入

ハナイグチはネットで手軽に購入できます。北海道の大自然の中で育つカラマツ、そしてカラマツと共生する落葉きのこ「ハナイグチ」。ぜひ北海道産の天然ハナイグチを一度食べてみてください。

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