2024 今が旬!脂が乗った北海道サンマが復活!

2024 今が旬!脂が乗った北海道サンマが復活!

今年のサンマ漁は、近年の不漁からの回復を示しており、多くの漁業関係者、消費者にとって朗報です。サンマは北海道、特に道東の根室地方の漁業において重要な役割を果たしており、その漁獲量の変動は地域経済にも直接的な影響を及ぼします。サンマ漁の回復は、地元の漁業や飲食業の活性化につながる期待が高まっています。

いまだ謎が多いサンマの生態

サンマ(Pacific saury)は、細長い体形と特徴的な青い背中を持つ魚です。生態の詳細についてははっきりしていない部分が多いですが、主に日本の太平洋の沿岸水域に生息し、北上して栄養豊富な北海道沖でプランクトンを食べて成長し、その後南下して産卵するようです。産卵場所は暖流の縁辺部で、海面を漂流するホンダワラ類などの流れ藻に卵を産み付けます。生息環境は水温や海流の影響を受けやすく、気候変動が繁殖に大きな影響を及ぼします。

サンマは主に棒受け網によって漁獲されます。棒受け網漁はサンマが光に集まる習性を利用したもので、夜間に船の片側に集魚燈をともして海面近くに魚を集め、海面下から網を一気に持ち上げて漁獲する独特の漁法です。下から魚をすくい取るため魚体に傷がつきにくいのがメリットです。

どうやって食べてもおいしいサンマの魅力

サンマは、秋の美味しい季節の魚として知られており、刺身のほか、生のまま焼いて大根おろしを添えたり、塩や糠、みりんに漬けて味付けして焼いたり、またかば焼きや煮つけにしてもおいしい魚です。またサンマには胃がありません。サンマは「無胃魚」と呼ばれる魚の一種で、体内に胃を持たず、食道と腸が直接つながっています。そのため、食べたものはすぐに消化され、排泄物が体内にほとんどたまりません。なので内臓も食べることができます。むしろ、ほろ苦い内臓を好んで食べる人もいるくらいです。


サンマの内臓は、ビタミンAやミネラル類が含まれ、栄養面からもぜひ食べることをおすすめします。また、内臓に多く含まれるビタミンAやレチノールには、細胞生成を促進し、肌の乾燥を防ぐ効果が期待できます。ただし、内臓は傷みやすいので、新鮮なサンマに限ります。無胃魚の内臓は、おいしいだけではなくさまざまな栄養成分を含んでいるので、健康、美容効果が期待される魚でもあります。

栄養たっぷり!サンマの健康効果

サンマは、必須アミノ酸をバランス良く持つ高品質のタンパク質、貧血予防に役立つ鉄分、粘膜を強化するビタミンA、骨や歯の健康をサポートするカルシウムとビタミンDを豊富に含んでいます。

さらに、DHAやEPAといった不飽和脂肪酸は脳の発達、血流の改善、悪玉コレステロールの低下など、さまざまな健康効果を提供します。

また、サンマにはビタミンB12がたっぷりと含まれており、これは造血ビタミンとして知られ、特に女性や貧血のリスクがある方に推奨される栄養素です。

サンマを食べてお肌つるつる:サンマの美容効果

サンマには、肌や髪の健康をサポートするビタミンB6やビタミンB2が豊富です。ビタミンB6は、タンパク質の代謝に関与する栄養素で、皮膚や髪の健康を維持するのに不可欠です。また、ビタミンB2は、脂質や糖の代謝を促進し、細胞の再生や成長をサポートし、皮膚や粘膜の健康が保たれるのです。

2023年までの不漁の原因とは

2008年に35.5万トンを記録した日本の漁獲量はその後徐々に減少し、2021年は2.0万トンとなりました。2019年以降は3年連続で、1950年以後の過去最低記録を更新しました。日本でのサンマの漁獲量の減少は、2010年に突然起きた分布の沖合化が契機と考えられ、2010年以降も海洋環境や餌環境の変化により、沖合化と資源減少が進行しました。つまり、サンマの漁場が日本から遠ざかってしまったということです。

沖合化の背景には、近年の親潮の勢力が弱まり、それに伴って道東・三陸沖の水温の上昇があると考えられています。 要するに千島列島に沿って南下する冷たい親潮の勢いが弱まったため、南からの温かい海の勢力が優って漁場だった北海道・三陸沖の海水温が上ったためと考えられます。

サンマの分布域が沖合に偏ったことで、産卵場や生育場も餌条件が良くない沖合に移動しています。沖合は餌の密度が低く、サンマの成長、成熟にも悪影響を及ぼしていたのです。

また、日本に近い海域では、イワシ類やサバ類など、海の表層近くを主な生息場所とする魚種が増加し、サンマが日本の近くで回遊しにくくなっていた可能性もあります。

さらに中国や台湾などの外国漁船による影響を指摘する漁業関係者もいます。これらの国々が日本の排他的経済水域(EEZ)の外側で大量にサンマを漁獲していたため、日本近海に回遊するサンマが激減。その結果、サンマ漁が不良になったともいわれています。

撤退する日本のサンマ漁船

漁獲量の減少とともに漁場の沖合化も進み、沿岸域ではほとんど獲れず、2021年には日本の港からは遠い公海での漁獲量の割合が95%に達しました。

小型の漁船は漁場が沖合に移り、燃料高の影響もあって出漁が難しくなりました。10年前に77隻いた10~20トンの漁船は、2021には44隻と43%減少。100トン以上の大型船でもサンマ漁から撤退する船が相次ぎました。

サンマの漁獲が減少するに伴い価格は高騰。なじみ深かった大衆魚が超高級魚となり、市民の食卓から遠ざかってしまいました。

2024年のサンマ漁:豊漁の背景

ところが今年のサンマ漁の状況は一転しました。序盤はサンマの水揚げ量日本一を誇る北海道根室市の花咲港で初水揚げ量はおよそ67トンで、2023年の469キロに比べなんと140倍。詳しい理由については解明されていませんが、前述の海洋環境の変化が弱まったためV字回復したと考えられます。

また地元の漁業関係者によると、同じ漁場で操業していた100隻ほどの中国の漁船がサンマ漁を切り上げて、南米沖のイカ漁に向かったことが要因の一つだということです。

2023年の漁期後半に日本のEEZの中に久しぶりに漁場ができ、生き残った魚が成長。2024年6、7月に行った調査によると、太平洋の西側に大きいサンマが多く分布してたことがわかり、今年は大きいサンマが獲れるとみられています。豊漁のうえ魚体が大きいという、2024年のサンマ漁は二重の喜びに沸いているのです。

しかし、11月以降に沖から来る群れは、数が少なく魚体も小さくなる見通しで、水揚げ量は伸びない可能性があるようです。ここはぬか喜びとならぬよう、冷静に2025年以降の推移を見守りたいところです。

地域経済への影響:サンマがもたらす大きな波及効果

サンマ漁の回復は、地元の漁業や水産加工業、運送業にとって重要な影響をもたらします。主産地の根室市ではサンマの缶詰など、水産加工場が多く、さらに札幌方面へサンマを運ぶ運送業者にとってもサンマは欠かすことのできない荷物です。またサンマを用いた料理は多くの飲食店で提供され、地域の特産品として観光資源にもなります。さらに、地域振興の一環として、サンマ祭りや食イベントが開催され、地元の経済活性化につながっており、サンマは地域の進行にとって不可欠です。

まとめ:サンマの豊漁で再び大衆魚となるか⁉

サンマ漁の今後への期待と展望は明るいものがあります。持続可能な漁業管理の重要性を再確認し、地元の漁業者や関係者が協力して資源を守ることが求められます。今年の豊漁を契機に、サンマが再び地域経済を支える存在となることを願います。

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