お供えスイーツの歴史と意味を徹底解説【和菓子とフルーツ編】
お盆が近づくと、和菓子やフルーツが供え物として店頭に並びますが、選ぶ際に何が適しているのか迷うことも多いでしょう。お供えには、日本の歴史や文化、宗教的な意味が深く根付いています。本コラムでは、古代から現代までの供え物としての甘い食べ物の歴史や、その象徴する意味を探り、和菓子や洋菓子の選び方、宗教ごとの適した供え物について詳しく解説します。供養の意義を理解し、故人への思いを込めたお供え物を選びましょう。
お供えの歴史と甘い食べ物
お供えスイーツ(お供え物としての甘い食べ物)の歴史は、日本の宗教的な儀式や文化に深く根付いています。その歴史をさかのぼって見ていきましょう。
古代のお供え物と甘い食べ物
お供え物の習慣は、日本の古代から存在しています。神道の儀式において、神々に対する感謝の意を示すために、食物や酒、果物などが供えられました。この時代、特にお米や果物などが重要視されていましたが、甘いものも供え物の一部でした。
奈良・平安時代の供え物
奈良時代(710-794年)や平安時代(794-1185年)になると、中国から伝わった仏教の影響で、お供え物の種類が増えました。この時期、米や麦を使った餅や団子が一般的に供えられるようになりました。特に、仏教の供養や法事の際に、甘い団子や饅頭(まんじゅう)が供えられることが増えました。
室町・戦国時代の和菓子
室町時代(1336-1573年)や戦国時代(1467-1603年)になると、茶道の発展に伴い、和菓子の文化が広がりました。茶の湯の席で使われる和菓子が、お供え物としても利用されるようになりました。この時期、特に季節の花や果物を模した練り切りや羊羹(ようかん)が供えられるようになりました。
江戸時代の和菓子
江戸時代(1603-1868年)には、和菓子の技術がさらに発展し、種類も多様化しました。庶民の間でも、法事やお祭り、お祝い事の際に、甘いお菓子が供えられるようになりました。この時代、特に饅頭やどら焼き、桜餅などが一般的なお供え物として普及しました。
現代のお供えスイーツの多様化
現代では、伝統的な和菓子だけでなく、洋菓子もお供え物として使われるようになりました。ケーキやクッキー、チョコレートなども、お供え物として選ばれることが増えています。また、供え物の形態も多様化しており、故人の好みに合わせたスイーツが選ばれることが一般的です。
お供え用フルーツの象徴
夏に贈りたい定番のお供え物と言えば、フルーツの盛り合わせではないでしょうか?
盛り合わせの中に何が入っていたかな?と考えると、頭に浮かんでくるのはメロン、りんご、ぶどう、バナナなどでしょうか?果物なら何でも良いというわけではなさそうです。それぞれの果物のもつ意味を順に見ていきましょう。
メロンの象徴
意味: メロンは豊かさや繁栄を象徴します。故人の魂が豊かさに満ちた安らかな場所にあることを願う意味が込められています。また、メロンは高級な果物として知られており、高級感と敬意を示すことができます。お供えとして贈る場合、故人やその家族に対する敬意や感謝の気持ちを表すことができます。
りんごの象徴
意味: りんごは健康や幸福を象徴しています。その赤い色は喜びや幸運を表しています。
ぶどうの象徴
意味: ぶどうは豊穣や繁栄、子孫繁栄を象徴します。ぶどうの房が多くの実をつけることから、その意味が込められています。
バナナの象徴
意味: バナナは豊穣や繁栄を象徴します。比較的新しいお供え物として使われることが多いですが、栄養価の高さから健康を祈る意味もあります。
お供え用和菓子の象徴
お供え物と言えば、和菓子でしょ!という方も多いと思います。お供え物の和菓子といえば、季節の花や果物を模した淡い色合いが中心の上品で落ち着いた印象の羊羹、饅頭、最中、団子などが定番です。白や金の落ち着いた色合いで包まれているのも特徴です。なぜ、これらの和菓子がお供えに選ばれるのでしょうか?その理由はそのお菓子がもつ意味を理解することでわかります。
餅(もち)の象徴
意味: 長寿や繁栄を象徴し、特に正月や結婚式など祝い事に使われます。
例: 紅白餅、鏡餅
羊羹(ようかん)の象徴
意味: 羊羹は長寿と健康を祈る意味があります。固さと形が持つ意味から、安定や安全も象徴しています。
饅頭(まんじゅう)の象徴
意味: 饅頭は平和と繁栄を象徴し、特に法事や仏事でよく供えられます。
団子(だんご)の象徴
意味: 団子は団結や家族の和を象徴しています。季節ごとに違う形や味の団子が供えられます。
例: 月見団子、花見団子
どら焼きの象徴
意味: どら焼きは円形であることから、円満や調和を象徴しています。
お供え物の意味:故人の安らかな旅立ち
お供えの和菓子や果物の意味を見ていくと「長寿」や「健康」、「豊穣」、「繁栄」など前向きな言葉が並んでいます。
お供え物をすることで、故人が安心して旅立てるように、また来世での幸福を祈ります。
甘いお菓子や新鮮な果物は、故人があの世で豊かに暮らせるようにとの願いが込められています。
故人との絆を表す
お供え物は故人との絆を表し、感謝の気持ちを示すものです。故人が好きだったものを供えることで、その人の思い出を大切にし、故人との関係を再確認します。
残された人々の平安と繁栄
和菓子や果物には、家族や遺された人々の健康や繁栄を祈る意味も込められています。これにより、故人の魂が安心し、家族が前向きに生活を続けられるよう願う気持ちが反映されています。
宗教的・文化的な背景
日本の宗教や文化では、死は終わりではなく、次の世界への移行と考えられることが多いです。神道や仏教の教えに基づき、供養は故人の魂を慰め、次の世界での幸福を祈る行為です。このため、供え物には前向きな意味が込められることが一般的です。具体例は前述したとおりです。
仏教のお供え物の選び方
仏教では、供え物の形式や内容が宗派によって異なりますが、一般的なものを以下に示します。
花束: 蓮の花が特に象徴的です。その他の花もシンプルで美しいものが良いでしょう。
フルーツバスケット: 季節の果物が一般的です。
和菓子: 伝統的な和菓子が好まれます。特に大乗仏教の地域では、これが適しています。
↓後編では、近年人気の高まっている洋菓子について詳しく解説しています。↓