美味しいイモは北海道の〇〇地区にあった!

美味しいイモは北海道の〇〇地区にあった!

国産のジャガイモの8割は北海道で生産されています。土地が広いので当然と言えば当然ですが、気候や土壌がイモの栽培に適しているということも、背景になっています。そんな北海道産ジャガイモの中でも「男爵イモ」と「メークイン」は正に二大巨頭。誰もが認める代表格と言えます。今回はこの二大巨頭について考察を深めます。

 

生産量№1の「十勝」、歴史の「桧山」

北海道は14の地域に区切られていますが、その中でイモの生産量が一番多いのは「十勝」です。道内の42%を生産しています。さすが食料自給率1200%の地域だけあります。ただ生産量においては十勝ですが、ジャガイモ栽培の歴史に関しては道南の桧山地方が知られています。この事実には恐れ入りました。十勝・帯広市に住む私にとって、「イモは十勝」とずっと思い続けてきましたが、さすが道南・桧山。歴史が深いです。そしてイモの生産に対しても、思いが強いです!

 

ジャガイモ発祥の地・今金町の「今金男爵」

北海道の南西部に位置する檜山町は「江差追分」で有名な江差町がある地域です。古くはニシン漁で栄えた地域ですが、内陸部でも農業が盛んです。そのうち今金町は明治24年からイモの栽培が始まりました。昭和28年には男爵イモ1品種に生産を統一し、同30年には「今金男しゃく」の名前で銘柄が確立されました。

「今金男しゃく」は、北海道瀬棚郡今金町および久遠郡せたな町で生産されます。白色で美しい外観とデンプン含有率が13.5%以上の安定した品質、加えてホクホクした自然にとける舌触りが特徴のバレイショです。厳しい選果基準を設け、形状や外観が良いため、市場では品質、食味ともにトップクラスと評価されています。生産量は9600トンと少なく、なかなか入手できない「幻のイモ」とも称され、ネット通販でなければ購入は難しいイモです。

当サイト「食ベレア北海道」では今金町で男爵イモを生産している伊藤農園の男爵イモを販売しています。この機会に「幻のイモ」を手に入れてください!

煮崩れしない5月の女王「メークイン」

メークインはイギリス由来のジャガイモで、名前はイギリスの春の村祭りの際、村の娘から選ばれる春の女王(メイ・クイーン)に由来します。桧山地方の厚沢部町内にあった北海道庁桧山農事試作場ではじめてメークインが試作されたのは大正14年。発祥の地となっています。

男爵イモとは対照的に、病気にも弱く、栽培も難しいとてもデリケートな品種です。特徴は、楕円形でスベスベした形と、芽が浅く皮が剥きやすい。果肉は黄色っぽく、ねっとりとした滑らかな食感です。最大の特徴は「煮崩れしにくい」という点です。なので煮物に適しており、シチューやカレーなどの煮込み料理に向きます。半面、コロッケやフライには不向きです。北海道で秋に収穫され、土の中や氷室で越冬したメークインはでんぷん質が糖化することで甘みが増し、濃厚で香ばしい香りを放ちます。

当サイト「食ベレア北海道」では厚沢部町のメークイン生産農家「いたさか農園」のメークインを扱っています。ご購入の上、甘い「5月の女王」をご賞味ください。

 

ほかにもまだまだイモの種類

北海道で栽培されているイモは50種類以上あります。キタアカリやレッドルビー、インカのめざめ、レッドムーン、とうや・・・数えたらきりがありません。いずれもそれぞれ個性があっておいしいイモです。北海道産じゃがいもが美味しい理由は、昼夜の寒暖差にあります。日中に強い日差しを受けて光合成を行い、たくさんのデンプンが地下茎のイモに蓄えられます。北海道の気候がジャガイモを美味しくしているのです。

 

ジャガイモ生産農家の大敵「シストセンチュウ」

一般の消費者には認知されていませんが、イモ生産農家が最も恐れるのは「シストセンチュウ」の発生です。ジャガイモに寄生する病害虫です。

症状として、茎の下の部分の葉が枯れてしまい、センチュウの密度によっては、イモも50%以上の減収となる場合もあります。またセンチュウは、植物防疫法で定められた有害動物で、発生した地域では種イモの生産や流通が制限されるだけではなく、防除対策のための労力、金銭的コストも大きく、農家にとってとても大きな負担となってしまいます。

食べて美味しいジャガイモですが、農家の人たちは防除にとても気を遣っています。その苦労も一緒に味わうと、一層イモの美味しさが伝わりますね。

食用のイモからイモを育てるのは危険

イモを長期間保存し、芽が出てしまった、という経験をお持ちの方も多いと思います。それを畑に植えればもちろん育って、またイモができますが、ちょっと危険なのでやめた方がいいです。

ホームセンターや園芸店で種芋として販売されるイモは、何度も病気のチェックが行われ、感染しているおそれのあるものは省かれます。一方、食用としてスーパーなどで販売されているジャガイモは、食べても人体に影響のない病気は、防除せずに栽培されることが多いです。

親の病気は、子としてできたイモにも感染している場合が多く、うまく栽培できなかったり、収量が激減したりします。それだけでは済まず、病気の種類によっては、土壌に菌が残ったり、周囲に感染することもあるので、注意が必要です。

芽が出る前に食べておきたいですが、芽が出てしまったイモは植えずに捨てる方が安全です。

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