酢の歴史と起源:古代の発酵文化から現代の健康トレンドへ

酢の歴史と起源:古代の発酵文化から現代の健康トレンドへ

酢の起源と歴史:紀元前5000年からの偶然の発酵ジャーニー

「酢(す)」の歴史は古く、紀元前5000年ごろと言われています。酢は発酵で得られるアルコールからできるものなので、この時代からお酒も造られていたと推測されます。人類の祖先が果物や穀物を蓄えて、そしてそれが発酵してアルコールができ、さらに自然の酢酸菌が作用して酢になった。つまり、偶然できたものだったのです。

日本の酢文化:江戸時代の酢の普及とお寿司の誕生

日本で酢が調味料として一般に広まったのは江戸時代になってからです。酢の製法が全国各地に広まり、酢を使った料理がたくさん生まれました。その代表は「酢飯」、すなわちお寿司です。幕末になると「にぎり寿司」や「いなり寿司」が誕生し、庶民の間で大変な人気でした。

世界の酢の多様性:穀物酢とアジアの伝統的製法

酢は糖分を持つ原料で、一度「酒」にして、それらを「酢酸菌」で発酵させてつくります。それぞれの土地や風土にあった農産物を原料にしており、世界中にさまざまな原料の酢が存在します。米や小麦などの穀物を原料としてつくられる酢を「穀物酢」といい、日本をはじめ、アジア地域でよくつくられています。

果実酢の世界:りんご酢からバルサミコ酢までの欧米の酢文化

りんごやぶどうなど果物を原料としてつくられる酢は「果実酢」です。欧米でよくつくられています。代表的なものは近年日本でも人気の「りんご酢」、ぶどう酢を原料とするバルサミコ酢、ワインビネガーなどがあります。

日本でもよく売られているおなじみの酢について紹介します。

黒酢

米酢の一種で精米しない玄米を原料にして作ります。壺酢(つぼす)とも呼ばれ、コクや風味が豊かで人気です。長期間熟成、発酵させることで独特の色になり、真っ黒に近い色にまで濃くなります。

バルサミコ酢

白ぶどう果汁を煮詰め長い期間熟成させたもので、北イタリアのモデナ地方で千年以上前から作られている酢です。香りが高く、まろやかな甘みが特徴です。

りんご酢

りんご果汁を使った酢で、りんごの本場アメリカでは人気です。りんごの香りがするフルーティーな酢で、日本でも一般的になりました。甘い風味がまろやかで、野菜ともマッチします。

ワインビネガー

赤ぶどうからつくられるもので、少し渋味があり、フランスやイタリアの煮込み料理の隠し味にしたり、煮詰めて酸味をとばせば、おいしいソースも作れます。

酢の健康効果6選:血糖値から食欲増進までの驚きの効用

酢が健康に良いことは誰もが知っていますが、詳しく解説します。体に良いとされるのはクエン酸と酢酸の作用によるものです。
一般的な効用としては
1.血糖値の上昇をやわらげる
2.カルシウムの吸収を助ける
食後の血糖値の上昇を緩やかにすることで糖尿病や肥満、高血圧の予防になります。また酢酸にはカルシウムを体内に吸収しやすくする働きがあります。
3.食欲増進
「すっぱいものを見ただけで唾液が出てしまう」という人はいませんか?酢の爽やかな酸味には唾液や消化液の分泌を高める働きがあり、それが食べたいという気持ちを増幅させてくれるのです。
4.肉や魚を柔らかくする
酢にはタンパク質をやわらかくする効果があります。肉料理に酢を使うと、肉が柔らかくなります。
5.塩分の代用になる
塩分の取り過ぎを気にしている方は酢を料理に使うことをおすすめします。味にコクが出るため塩は少な目で十分です。
6.食品を長持ちさせる
酢の物やなますなど、酢を使うことで料理は傷みにくく、長持ちします。臭みやアクを取る効果もあります。またこれらの効用やメリットは加熱しても変わりません。

酢の活用法4選: 飲み方から料理テクニック、健康を考える飲む酢の選び方まで

飲む
飲んでおいしいのはリンゴ酢などの「果実酢」です。水や炭酸で薄めて飲むとさわやかな酸味が口に広がり、気分もさわやかに。穀物酢に果実を漬け込んで、食べた後の酢も水や炭酸、サイダーなどで薄めて飲めば、フルーティーな清涼感があり、とてもおいしいドリンクになります。ただ原液のまま飲むのは危険です。胃の粘膜が傷ついてしまいます。必ず薄めて飲んでください。
漬ける
大根やキュウリ、ニンジンなどの野菜を切って甘酢に漬けておくだけで、手作りのピクルスができあがります。酢と野菜の食物繊維、ダブルで摂取でき、健康効果が倍増します。保存も可能なのでとても便利。サラダ代わりにお楽しみください。
かける
オリジナルドレッシングの材料として欠かせません。ごま油やオリーブオイルと混ぜるだけでできますが、醤油やゴマ、すりおろした玉ねぎやダイコン、みりんや砂糖、わさび、ショウガなどの調味料…。ふだん冷蔵庫にあるものでおいしい手作りドレッシングの完成です!
飲む酢の落とし穴
料理や調味料にも使える酢ですが、摂取するにはやはり「飲む」のが一番簡単です。最近はさまざまな酢の飲料が売られています。ただ気になるのは糖分の多さです。飲みやすいように加工するため、糖分もかなり入っています。野菜ジュースしかり、体に良いとされるものでも、大手のメーカーはどうしても砂糖をたっぷり入れて作ります。「甘い」=「おいしい」のではなく、「体にいい」=「おいしい」と私は主張したい。購入の際は成分表をしっかり見てください。

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