山菜は「採る」から「育てる」へ。絶品のギョウジャニンニク
北海道は山菜王国?ゴミや採り尽くしなどマナーも問題!
北海道は、手付かずの自然の中で自生している山菜が多く、山菜王国とも言えます。ちょっと車を走らせると、そこかしこで食べられる山菜が採れます。ただ採りすぎによる枯渇、ごみの投棄、遭難など、課題と常に隣りあわせです。今回は北海道で採れる山菜について語ります。
山菜は旬の野菜
山菜のメリットは常に「旬の植物」ということです。栽培するものではないので、旬でない山菜は実在しません。旬の山菜こそ、その時期に人間が必要としている栄養素を蓄えています。だからこそ「おいしい」と感じるのでしょう。
栽培が難しい山菜
北海道の山菜の種類は、タラの芽、ギョウジャニンニク(北海道ではアイヌネギとも)、フキ、フキノトウ、ウド、ワラビ、コゴミ、ネマガリタケ、ワサビ…。数に限りはありませんが、だいたいこれらが主流です。いずれも自生するには日当たりや水はけの良し悪しなど、微妙な自然環境が左右します。品種改良などの研究はほとんどされていないため、根から抜いて庭に植えて栽培しようとしてもなかなかうまくいきません。
少なくなった山菜
山菜採りファンは、それぞれ人に連れて行ってもらって場所を知ったり、上級者は植生や地形を観察して自分で開拓することもあります。近年は一時のブームは収まったとはいえ、採りすぎが原因で、かつてのようにいい山菜をなかなか見つけられなくなりました。
山奥にはリスク伴う
山菜は採りつくすと、復活するには相当の年月が必要になります。中には二度と復活できないケースもあります。また伐採などで開発の手が山奥にまで及び、地下の水脈が変わって、荒れ地になってしまうこともあります。手付かずの自然はさらに山奥に行けばありますが、今度はヒグマの出没や道に迷うなど、リスクが高まります。
ヒグマの脅威が山菜守る
ヒグマの恐怖が、山菜を守っているということも大いに言えます。ヒグマが人を襲うのは冬眠を終えてお腹がすいている春と冬に備えて栄養を蓄える秋に多いのです。なので、山菜シーズンの春に遭遇するのは避けたいところ。命を懸けてまで山菜を採る必要はありません。
侮れないマダニ
また山菜はマダニの時期とも重なります。ダニは小さいので、噛まれても気づかないケースがあるのです。マダニに噛まれたら6日~2週間程度の潜伏期間を経て、主に原因不明の発熱、消化器症状が現れます。頭痛や筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状、出血症状を起こすことがあり、早めに病院へ行かなければ大変なことになります。
北海道の三大山菜
北海道の山菜で人気があるのは(私見ではありますが)「タラの芽」「ギョウジャニンニク」「ウド」でしょうか。
タラの芽
タラの芽は枝ぶりに特徴があるので、林道を走ると、遠くからでも容易に発見できます。なので採り尽くされて立ち枯れしているタラの木をよく見かけます。芽の部分の天ぷらはクセがなく、歯ごたえがあるのに柔らかいという独特の食感。天ぷら以外の食べ方はありません(知りません)が、天ぷらだけでもおいしいので、上位に入ることは間違いありません。栽培したものがスーパーで売られていますが、天然のタラの芽を食べると、売っているものは小さくて購買意欲がわきません。
ウド
ウドの茎は酢味噌和え、皮はきんぴら、脇芽は天ぷらと、捨てるところがありません。最もおいしいのは、6月下旬の旬が終わりかける時期に、北斜面に遅れて生えるウドです。柔らかくて味はほんのりと苦みがあって、香りも強く最高です。栽培したウドもスーパーで売られています。天然に比べると味、風味は多少薄いですが、十分に満足できます。
山菜の大御所「ギョウジャニンニク」
最後はやはり「ギョウジャニンニク」です。北海道では野外での花見ジンギスカンと季節が一致するので、「ジンギスカンにはギョウジャニンニク」とこだわっている人も多いです。とにかく元気が出て免疫力も高まります。免疫力を高めるアリシンが多く含有されており、血行を良くし、冷え症にも効果があると言われています。
おひたしや酢の物、炒め物、天ぷらなど、万能な食材です。ニラやニンニクの代わりに餃子や卵焼きに入れると、味は似ていますが、ほんのり青臭さ、春の香りが漂って、最高です。
匂い少なく人気の栽培ギョウジャニンニク
栽培したギョウジャニンニクも売られていますが、ニンニク臭を気にする人は逆に栽培物の方が匂いが抑えられるので人気です。旨味と栄養価をそのままに、匂いを抑えた栽培ギョウジャニンニク。
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