ビーフジャーキーの遍歴:古代インカから現代日本への保存食の軌跡
ビーフジャーキーの起源と歴史:古代から続く世界の干し肉文化
海外旅行のお土産として定番の「ビーフジャーキー」。肉に味付けして、十分に水分が抜けて硬くなるまで燻製にした「干し肉」の一つですが、歴史を調べると、保存食として太古の時代から世界各地に存在していたようです。アメリカで大きく発展、普及したビーフジャーキーの起源は南米と言われています。インカ帝国時代にリャマの肉を干して食べていたのが始まりです。
ビーフジャーキーの製法:肉の保存技術の進化とおいしい仕上がり
まだ冷蔵庫がない時代、肉や魚の腐敗を防ぐ方法として、人類は「塩漬け」「乾燥」「燻製」を発見しました。ビーフジャーキーはそのすべての行程を使って作ります。まず味が染み込みやすいよう、そして乾きやすいように、肉を薄く切ります。それをスパイスや塩で味付けし、燻製にかけ、ほどよい硬さになるまで乾燥させて完成です。
ビーフジャーキーの再興:戦地から家庭へ、保存食の変遷と人気の秘密
冷蔵、冷凍技術が高まり、一般家庭にも冷蔵庫が普及すると、保存食としての価値は下がりますが、人気が再燃したきっかけは意外にも戦争でした。ベトナム戦争時代に、アメリカ兵たちの戦地での野戦食としてこのビーフジャーキーが大量に製造、使用されたのです。戦争が終わり、自国に戻った兵士たちは、引き続きさまざまなスパイスで味付けたビーフジャーキーを楽しむようになり、人気が定着したのです。
ビーフジャーキーの日本進出:醤油ベースのおつまみが生んだ国民的人気
日本でも人気が高まったのは1970年代に日系二世のアメリカ人が作った醤油ベースのビーフジャーキーを開発したことに端を発します。日本ではすっかりおなじみのテングの「ビーフステーキジャーキー」です。だれもが一度は食べたことがあるのではないでしょうか。日本人好みのビーフジャーキーはハワイのお土産から火が付きました。その後は日本でも販売されるようになり、「テングのジャーキー」として親しまれています。
日本市場のビーフジャーキー革新:多様化する味と製法のトレンド
一方、日本でも珍味や乾物を製造する食品加工会社が次々に参入し、独自の味、製法で商品を打ち出しています。バリエーションはスパイスによる味付けにとどまらず、原料の牛肉にこだわったり、食べやすいしっとりタイプにするなど、さまざまなビーフジャーキーが製造、販売されています。