2022年の大みそかは「紅白を見ながら花咲ガニ」

2022年の大みそかは「紅白を見ながら花咲ガニ」

花咲ガニで年忘れ

いよいよ年の瀬も迫ってまいりました。今年の年末のごちそうは何にしようか、迷っている方も多いのではないでしょうか。地方によって定番、伝統の料理はさまざまありますが、筆者の生まれ故郷である北海道根室市では真っ赤にゆでた「花咲ガニ」が食卓のど真ん中を陣取ります。「花咲ガニがなければ年は越せない」と言っても過言ではありません。花咲ガニの「赤」はおめでたい気分にさせてくれます。道外に住まわれている方に、ぜひ2022年の大みそかは「紅白を見ながら花咲ガニ」、これを推奨いたします。

 

名前の由来は諸説あります

花咲ガニはタラバガニ科に分類され、タラバガニと同様に、カニではなくヤドカリの仲間です。巻貝から借りていた宿を捨てて、独自に進化したようです。和名の「ハナサキ」は、漁獲地となっている根室の地名「花咲」に由来するとする説、茹でたときに赤くなって花が咲いたように見えることからとする説がありますが、よくわかりません。

 

乱獲で資源が減少

茹でる前の花咲ガニはこんな色をしています

北海道周辺の生息海域は納沙布岬から襟裳岬付近の太平洋側と、根室半島のオホーツク海側にのみ分布しています。タラバガニや松葉ガニと比べるとかなり狭い場所にしかいません。漁獲量は200海里制度導入以前の1977年以前は年間1000トン程度の漁獲高がありましたが、2000年以降は100トン未満に激減しました。乱獲による資源減少が原因とされています。

 

叱られたおかげで「カニむき名人」

筆者(1964年生まれ)が子どものころは安くて美味しくて、まさに庶民の味でした。花咲ガニを買うと、カニ屋のおばさんが毛ガニや松葉ガニを「おまけ」につけてくれたことを覚えています。今ではあり得ない話です。子どもにとっては食べるのが大変なカニですが、捨てた殻に身が残っていると親に叱られたものです。おかげで、今は「カニむき名人(自称)」になりました。

 

身が詰まっているカニは重い

地元でも、生の花咲ガニはめったに売られていません。大半は水揚げ後にすぐに茹でて冷凍します。旬は夏から秋にかけての時期ですが、冷凍なので年中販売されています。旬の時期に水揚げされたものは身が詰まっていて高価ですが、身があまり入っていないカニは安価です。価格の差は身入りの差です。買う前に手で持ってみて、重たいものを選ぶのがコツです。

 

じっくり時間をかけて解凍

花咲ガニが自宅に届けられた後には、解凍する必要があります。少しでも凍っていればせっかくのカニが台無しです。時間をかけてゆっくりと冷蔵庫の庫内で解凍してください。甲羅に覆われているので時間はかかります。およそ1日半ほどかけて解凍するのがいいでしょう。解凍する際は甲羅を下にしてボウルかバットに入れてください。

 

上手に剥くコツ

その①の関節はハサミで切るのではなく関節を手で折ること。関節が曲がる逆方向に曲げると折れます。はさみで切ると殻についているスジが身に残ってしまうからです。手で折ることで、スジは殻について抜けてきます。

その②の身はハサミで切って開くのではなく、割り箸で押し出す。押し出す方向は足の先から根元の方向へ。方向を間違うと出てきません。

その③んどしを食べた後は、胴体に残った身を取り出します。ここで初めてキッチンバサミの登場です。ここは上品にはできません。ハサミを足の本数だけ入れて、あとは手で開きながら身を取り出します

その④カニみそはスプーンでそぎ取って食べます。豆腐のような白っぽい脂も絶品です。残さず食べましょう。

 

当サイト「食ベレア北海道」では美味しい根室産の花咲ガニを取り扱っています。ぜひ年末の食卓を花咲ガニで彩ってください。

身・味噌の濃厚な旨さ

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