ミートパイの世界:イギリス発祥からオーストラリアの国民食、そして日本の進化した味

ミートパイの世界:イギリス発祥からオーストラリアの国民食、そして日本の進化した味

進化した「ミートパイ」は種類もいろいろ

ラーメンやカレーのように、海外の食べ物が国民食のように発展したケースは珍しくありません。ひき肉をパイで包んだ「ミートパイ」。食べたことありますか?読んでそのままですが、ソースや肉の種類、肉の切り方など、さまざまにアレンジされ、バラエティーに富んだミートパイがあります。今回はミートパイについて解説します。

ミートパイの起源と基本:英国の伝統的肉料理とその多様な具材

ミートパイは英国発祥の伝統的な肉料理です。基本形はパイ生地でできたクラストに肉や野菜、スパイスを詰め込んで焼いたものです。多くは牛肉ですが、豚肉や鶏肉、ラム肉、またこれらの合い挽きなど、さまざまです。肉は何でもOKということです。野菜はタマネギやニンジン、セロリ、ジャガイモなどが使われます。

ミートパイ:オーストラリアの国民食とその背景

日本のおにぎり、アメリカのハンバーガー、中国の中華饅頭のように気軽に食べられるので、屋外のイベントやスポーツ観戦しながら食べることが多いパイ料理です。このミートパイが「国民食」と言えるほど人気があるのはイギリスではなくオーストラリアです。もはやミートパイはオーストラリアのソウルフードなのです。

オーストラリアのミートパイ:その特徴と独自の味わい

オーストラリアに行ったことのある人ならばわかると思いますが、オーストラリアでは多くのカフェやパイ屋さんベーカリーでミートパイが提供されています。イギリスのミートパイと似ていますが、やや異なる特徴もあります。
オーストラリアのミートパイで一般的に使われる肉は、牛肉です。特に、牛ひき肉が最もよく使用されます。これは、オーストラリアで非常に人気のあるフィリングであり、ジューシーで風味豊かなミートソースを作るために適しています。
一部のレシピでは、ラム肉や鶏肉が使われることもありますが、クラシックなオーストラリアン・ミートパイは、主に牛肉をベースにしたものが主流です。また、現代では、さまざまなバリエーションが登場しており、シーフードや野菜を使ったミートパイも見られます。
オーストラリアのミートパイは、肉の旨味を引き立てるために、タマネギスパイスグレイビーソースとともに調理され、サクサクのパイ生地で包まれて提供されるのが特徴です。

お家で作ろうミートパイ!

材料

パイ生地:
・小麦粉: 250g
・バター: 125g (冷たいものを細かく切る)
・塩: 小さじ1/2
・冷水: 約60-80ml

フィリング:
・牛ひき肉: 400g(お肉は豚や鶏、ラム肉などお好みで)
・玉ねぎ: 1個 (みじん切り)
・ニンニク: 2片 (みじん切り)
・人参: 1本 (みじん切り)
・セロリ: 1本 (みじん切り)
・トマトペースト: 大さじ2
・小麦粉: 大さじ2
・ビーフストック: 250ml
・醤油: 大さじ1
・ウスターソース: 大さじ1
・塩、胡椒: 適量
・卵黄: 1個 (仕上げ用)

作り方

1.パイ生地の準備:
①ボウルに小麦粉と塩を入れ、バターを加えて指先で混ぜ合わせ、そぼろ状にします。
②冷水を少しずつ加えながら、生地をひとまとめにします。水は入れすぎないように注意してください。
③生地をラップで包み、冷蔵庫で少なくとも30分以上休ませます。

2.フィリングの作成:
①フライパンに少量の油を熱し、玉ねぎ、ニンニク、人参、セロリを炒めます。野菜が柔らかくなるまで炒めます。
②牛ひき肉を加え、色が変わるまで炒めます。
③トマトペーストを加え、小麦粉を振り入れ、よく混ぜ合わせます。
④ビーフストック、醤油、ウスターソースを加え、塩と胡椒で味を調えます。
⑤中火で煮込み、フィリングがとろみを帯びるまで調理します。調理後、冷まします。

3.パイの組み立て:
①オーブンを200℃に予熱します。
②パイ生地を2つに分け、片方をパイ皿の大きさに伸ばして、皿に敷きます。
③冷ましたフィリングをパイ生地の上に均等に広げます。
④残りの生地を同様に伸ばし、フィリングの上にかぶせます。余分な生地を切り落とし、端をしっかり押さえて密封します。
⑤パイの表面にフォークで数箇所穴を開け、卵黄を塗ります。
⑥オーブンで約25-30分、表面が黄金色になるまで焼きます。

4.仕上げ:
焼き上がったミートパイをオーブンから取り出し、少し冷ましてから切り分けます。

オーストラリアン・パイ・チャンピオンシップス:独創的なミートパイの競演とその影響

毎年「オーストラリアン・パイ・チャンピオンシップス」というミートパイの全国コンテストが開かれ、伝統的なミートパイだけではなくチキンパイ、シーフードパイ、野菜パイなど、工夫を凝らした独創的なミートパイが出品されます。チャンピオンになれば名誉だけではなく、販売にも大きなプラスになるので、大会はかなりヒートアップします。

この「オーストラリアン・パイ・チャンピオンシップス」は、オーストラリア国内で最高のパイメーカーを決定するための権威ある大会です。主に以下の2つのイベントがあります。

1. オフィシャル・グレート・オージー・パイ・コンペティション

  • 開催場所: メルボルンで開催されるFine Food Australiaで毎年実施されます。
  • カテゴリー: パイとソーセージロールの両方に分かれており、さまざまなフィリングや生地の質が評価されます。
  • 審査基準: パイの味、食感、全体的なプレゼンテーションに基づいて審査されます。冷たい状態と温かい状態の両方で評価され、一貫性が求められます。
  • 2024年のイベント: 2024年9月2日から5日までメルボルンで開催され、多くのベーカリーやパティシエが参加します。

2. オーストラリア・ベスト・パイ&パスティ・コンペティション

  • 開催場所: ベーキング・インダストリー・トレードショー内で行われ、ベーキング協会が主催します。
  • 審査方法: 各エントリーは冷たい状態と温かい状態で2回審査され、パイやパスティの質の一貫性が評価されます。
  • : 各カテゴリーの優勝者には全国タイトルが授与され、メディアの注目を集め、ビジネスの拡大に大きな影響を与えます。

これらのコンペティションは、オーストラリアの料理文化を祝うと同時に、ベーカリーが認知度を高め、ビジネスを拡大するための重要なプラットフォームとなっています。日本で言うところの「全国菓子大博覧会」や「全国パン技術競技大会」のようなものでしょうか。

北海道のミートパイ特集:「どろぶた」を使用した十勝エルパソの逸品を味わう

食材が豊富な日本でも、ミートパイは独自に進化し、日本好みのミートパイが各地で作られるようになりました。特に肉や野菜の良質な食材がそろう北海道では、とてもおいしいミートパイが多くあります。

中でも放牧飼育で元気いっぱいに育った「どろぶた」の肉を使用したエルパソ(十勝)のミートパイがオススメです。どろぶたは豚肉本来の旨味がしっかりと感じられるほか、このミートソースは肉がぎっしり詰まっていて格別です!

ぜひとも、さっくりとした生地と一緒にどろぶたの肉をほおばってください!