甘みを増した越冬野菜
同じ「糖化」でも人間と植物では大違い
「糖化」ってご存じ?ネットで「糖化」で検索すると、「老化を早める現象」と恐ろしい結果が出てきます。たんぱく質が糖と結合し、細胞を劣化させることです。ただ今回話題にする糖化は人間ではなく野菜の糖化です。野菜にとっての糖化は逆にとてもうれしい現象なのです。
でんぷんが糖に変わる「糖化」
野菜の場合は、でんぷん質が糖に変わり、甘みを増すことを「糖化」と言います。イモ類をはじめ、ほとんどの野菜で糖化は起きます。ではどうすれば糖化するのでしょう。
凍死しないための糖化
水が氷になる温度は0℃ですが、水にほかのものが溶けている場合には、0℃では凍りません。溶けている物質の濃度が濃ければ濃いほど、融点は低くなり凍りにくくなります。野菜は凍れば細胞壁が壊れてしまい、それは植物の「死」を意味します。
糖化は野菜の自己防衛策
野菜は温度が下がると凍らないように自身の糖の濃度を高めるのです。糖の原料となるのが、夏から秋にかけて蓄えたでんぷん質です。温度が下がると自分の中のでんぷん質を糖に変え、凍らないように身を守るのです。
糖化で甘く美味しくなります
野菜は寒さをしのぐために必死に糖化しますが、それを食べる人間にとってもよいことです。秋に収穫したイモやキャベツなどの野菜を、翌年までに腐敗させずに低温で保管すると、糖分が高まり、甘く美味しくなるのです。
冷たい雪の意外な利用法
ただそれにもしても限界があります。北海道では氷点下20℃以下にまで下がることも珍しくありません。そこまで下がればいくら糖濃度を高めても凍ってしまいます。そこで「雪」が活躍します。雪は冷たく寒いというイメージがありますが、厳寒の北海道では保温してくれるありがたい存在です。
雪は天然の断熱材
地面は上空の寒気で凍りますが、雪がたくさん積もれば地面は深くまで凍りません。雪は天然の「断熱材」になり、地面を0℃前後に保って、凍結から守ります。学生時代、室内が氷点下にまで下がるボロアパートに住んでいた私は、缶ビールを外の雪に埋めて、凍結を防いでいました。
甘みが増す北国の知恵
北海道では昔から雪を利用して野菜を凍らせることなく越冬させていました。方法は畑に穴を掘り、野菜を入れて上からシートと雪を被せます。また単に畑に野菜を山積みにして雪を被せる方法もあります。まさに「天然のチルド」。越冬させると美味しくなることを、自然が教えてくれたのです。
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