山漬け鮭の極意:保存方法から新巻鮭との違いまでの全解説

山漬け鮭の極意:保存方法から新巻鮭との違いまでの全解説

鮭を原料として作られる「山漬け」と「新巻鮭」。ともに原料となる鮭は「シロザケ」ですが製法の違いにより、食べ方や味わいも異なります。この記事では、山漬けと新巻鮭の違いから調理に至るまでの多面的な側面を詳しく解説します。

新巻鮭と山漬け鮭の違いは?:同じ鮭でも全く異なる特性

山漬けは鮭の内臓を取り除き、お腹の中にたっぷりと塩を詰め込み、皮にも塩を擦り込みます。その鮭を山のように何重にも積み重ねます。下の鮭は重みで水分が抜けます。数日おきに上下の鮭を積みなおし、水分の抜け具合を均等にします。常温でも腐らないほど、塩分は強くなります。

一方、新巻鮭は内臓を取り除いて腹の内側と皮に軽く塩を擦り込む程度です。身に水分が残り、ふっくら感は残ります。最近は冷蔵、冷凍設備が整い、さらに真空パックにもできるので、塩分は控えめでもOKです。そのまま焼いて食べられるので、お歳暮などの贈答用に利用されます。

「鮭の塩漬け」という意味では似ていますが、塩分の量と作り方に大きな違いがあるのです。

塩漬け:古代から続く食品保存の王道

まだ冷蔵庫、冷凍庫のない時代は食材を保存するためにさまざまなアイディアが生まれました。その代表が塩分の高い「塩漬け」です。魚だけではなく肉でも野菜でも、塩漬けすることで腐敗を一定期間防ぐことができます。燻したり(スモーク)乾燥させることでも食品を長持ちさせることができますが、塩漬けが一番簡単でポピュラーな保存法です。

塩漬けの科学:保存と味わいの二重の効果

塩漬けにすることで腐敗を防いで長持ちすることは理解できますが、さらにたんぱく質をアミノ酸に分解し、旨味が増すことがわかっています。乾燥させる方法でもシイタケや昆布などは生のままより美味しくなります。食材の保存方法は素材の旨味をさらに引き出す効果もあるのです。冷蔵設備がない時代だからこそ生まれた最初の調理法とも言えます。

山漬け鮭:塩漬けの一種でありながら格別の味わい

鮭の保存方法で、伝統的に使われてきた手法が「山漬け」です。大量の塩で鮭を塩漬けし、それをうず高く山積みします。山積みすることで下の鮭が重みで水分が抜け旨味が凝縮します。定期的に上下の鮭を入れ替え、均等に水分を抜きます。さらに2、3日、寒風にさらして乾燥させることで、熟成により旨味が増した極上の山漬けになります。

塩抜きのコツ:塩水を用いる理由

山漬けの鮭はそのまま切って焼いて食べるには、ちょっと塩味が効き過ぎているので、塩抜きが必要になります。塩抜きは水にさらせばいいというものではありません。旨味も一緒に流出してしまいます。塩分濃度1%ほどの薄めの塩水を作り、切り身を浸して抜きます。いわゆる「迎え塩」です。塩を上手に抜くためには塩が大切な役割を果たします。

鮭のカット技術:一口サイズでムラなく美味しく

鮭は身の厚さが違うと塩抜きの加減が違い、また焼くときもムラができるので、均等の厚みに切ることが大切です。最もいい方法は「輪切り」です。1㎝~1.5㎝ほどの厚みがちょうどよいでしょう。また塩抜きが終わってすぐに焼くのではなく、一晩、冷蔵庫で乾燥させることをおススメします。皮がパリッと焼けます。ちなみに鮭の皮を残す人がいますが、もったいない話です。鮭の皮には旨味がたくさん含まれています。

やはり大きい方がうまい!美味しい鮭の選び方

鮭はだいたい4年で成長し、生まれた川に戻ります。新巻鮭や山漬けはみんな同じ年齢、4歳ということです。大きい鮭ほど値段が高いのは身の部分が多いからという理由の他に、味が美味しいということもあります。大きな鮭は捕食能力が高い、つまり美味しい餌をほかの鮭よりたくさん食べて成長したので、身に脂がのっているのです。ただ鮭の「大きさ」は長さより幅です。背中からハラスまでの幅が広いほど、太って美味しい鮭と言われています。

筋子のメス、身のオス 鮭はオスがうまい!

メスの鮭は産卵期が近づくとお腹に筋子を蓄えるため、身の脂や栄養が筋子に取られてしまいます。一方オスはそういったことがないので、身を食べるならオスの方が美味しいということになります。ではオスとメスをどうやって見分けるか。オスは鼻先が長くとがっていて、先が下に曲がっています。メスの顔は小さく優しい顔をしています。

おわりに:保存から調理まで、鮭の奥深い世界

鮭はその保存方法によって、多彩な食文化を生んでいます。特に山漬け鮭は、保存法としてだけでなく、その独特の風味で日本の食文化に貢献しています。ぜひこの機会に、山漬け鮭の美味しさを再発見してみてください。

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