ハスカップって何?北海道の隠れたスーパーフード!
ハスカップは、北海道を中心に日本やロシア東部、カナダなど、冷涼な地域に自生する低木の果実です。日本語の正式名は「クロミノウグイスカグラ」です。ブルーベリーに似た見た目と味ですが、より酸味が強く、独特の風味があり、お菓子やジャム、フルーツソース、ジュースなどに加工されます。この記事では、北海道を代表する果実「ハスカップ」について解説します。
収穫から加工まで: ハスカップの成長と特徴、美しい紫色の果実とその風味
ハスカップは背丈の低い木の実です。樹高は1㍍前後で、古木になると、樹皮がはがれてきます。5月から7月ごろに細長い花柄を出し、黄色っぽい花を、葉の腋に2つずつ下向きにつけます。
開花から40~50日後に成熟して青黒色になり、果皮の表面にブルーム(粉が付いたように白くなること)ができます。大きさは1~1.5センチほどで、形はほとんどが長円形ですが、種類によっては円形、円筒形、紡錘形などがあります。
低木のため、収穫作業は機械を使わず、ほとんどが手作業によるもので、重労働となります。
味は甘酸っぱく、さわやかな酸味と優しい甘みが特徴。ブルーベリーに比べると酸味が強く、完熟すれば甘みが増しますが、果皮が弱くなりつぶれてしまうことから、生食には向かず、完熟前に収穫し、主に加工用として使用されます。濃い紫色が鮮やかで、見た目にも美しい果実です。
北海道の地名と植物:アイヌ語の由来とハスカップの歴史
北海道の植物や地名はアイヌ語が由来しているものがたくさんあります。「札幌」は「サッ・ポロ(乾いた広いところ)」、「十勝」は「トカプチ(川口が二つ乳房のように並んでいるところ)」、「釧路」は「クシナイ(通り抜 けることのできる川)」などなど。
「ハスカップ」の呼び名も北海道の先住民、アイヌ語の「ハㇱカㇷ゚」に由来します。元の意味は「細い枝にたくさん実がなるもの」です。明治以降、本州から北海道に入植した和人により、胆振地方東部(苫小牧市、厚真町周辺)の方言として定着したと言われています。
ハスカップ栽培の理想的な環境:日本の山岳地帯から北海道勇払原野まで
ハスカップに適した土地は水はけ、日あたりが良く、風当たりが少ない場所です。寒さには強いですが、低木のため、ほかの植物との競合には弱く、上記の条件に合っていて、かつ高木が育ちにくい環境を好みます。本州では山岳地帯、北海道ではほぼ全域に自生しており、特に胆振地方の勇払(ゆうふつ)原野には密生していました。近年は開発により自生は減少しましたが、全道各地で農家の栽培により、生産されています。
ハスカップの栄養と健康効果:アントシアニンとポリフェノールがもたらす美容と健康への利点
ハスカップはおいしさだけではなく、栄養価も豊富です。アントシアニンをはじめとするポリフェノール類、ビタミンC、食物繊維など豊富な栄養素を含み、これらの成分は抗酸化作用があるとされ、健康維持や美容に良いとされています。
ハスカップの成分
【ポリフェノール】
ほとんどの植物に含まれており、種類は5,000以上あります。その中でハスカップにはアントシアニンが多く含まれています。アントシアニンは、植物が紫外線など有害な光から自身を守るために備えた天然の色素です。ブルーベリーやナス紫芋など、紫色の実に多く含まれています。視力、視覚機能の改善や眼精疲労の予防に効果があるとされており、目のサプリメントとしても人気です。
【ビタミンC】
ビタミンCは骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成に必須です。また毛細血管、歯、軟骨などを正常に保つ働きがあるほか、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼け防止、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強めてくれます。さらに抗酸化作用が注目され、がんや動脈硬化の予防や老化防止にビタミンCが有効であると言われています。人の体内では生成できない成分で、毎日少しずつ摂取することが大切です。
【食物繊維】
体内には吸収されませんが、健康のためには重要な役割を果たしてくれます。栄養素の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑える効果があります。ナトリウムを排出し高血圧を予防する効果、低カロリーで肥満の予防効果があり、糖尿病、高血圧、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の予防につながります。
抗酸化と健康維持:ハスカップのポリフェノールとビタミンがもたらす若さへの影響
酸素を吸収して生きている人間も、鉄と同じく「酸化」し、錆びていきます。老化や病気の原因の一つは「酸化」です。人の体には元来、尿酸やアスコルビン酸、メラトニンといった抗酸化物質が備わっていますが、加齢とともに低下してしまいます。そのため、若さと健康を保つために、普段の食事から、抗酸化作用をもつ栄養素を摂取することが大切です。ハスカップには抗酸化作用に効果があると言われているのはポリフェノールとビタミンを多く含み、美容やアンチエイジングに効果が期待されます。
ハスカップとブルーベリーの違い:形状、味、生産地による特徴と利用法の比較
ハスカップとブルーベリーは色も味もよく似ており、ともにブルームができるので、混同して認識している方が多いようです。ただ違いもはっきりしています。
まず形が違います。ハスカップは細長い形状をしているのに対し、ブルーベリーは正円です。味についてはブルーベリーの方は甘みが強く出ますが、ハスカップは酸味が強いのが特徴です。またハスカップは寒冷地でしか育たないので、生産・流通量が少なく、そのうえ果皮が弱いため、生食には適さずほとんどが加工用です。ジャムやフルーツソースなど、加工品として味わうのが大半です。一方ブルーベリーは果皮がしっかりしているので、生食用としてもスーパーなどでもよく売られています。
ハスカップ対ブルーベリー:栄養成分比較とアントシアニンによる抗酸化効果
含まれる栄養素の種類は似たり寄ったりですが、成分量には大きな違いがあります。結論から言えば、ハスカップに軍配です。ビタミンAの含有量はハスカップがブルーベリーの2倍以上、ビタミンKは約5倍、カルシウム含有量は約4倍、鉄分は約3倍、カリウムは約3倍の含有量があります。ただビタミンB1、B2、Eに関してはブルーベリーの方が優れています。双方ともアントシアニンを豊富に含むため抗酸化作用が期待できますが、ハスカップは特にアントシアニンを多く含み、より抗酸化作用が強いとされています。
ハスカップの利用法と購入ガイド:加工品から冷凍果実まで、北海道の味を自宅で楽しむ
ハスカップはジャムやフルーツソース、ヨーグルトなどに加工されて、よく売られています。新鮮な果実はそのまま食べられますが、地元の北海道でもなかなか出回ることがなく、冷凍の果実を通販で買う以外は難しいです。
もし、果実が入手できたなら、ハスカップはさまざまな料理に対応できるのでチャレンジしてみてください。
【ハスカップのフルーツソース】
お鍋に砂糖を入れて煮込むだけです。水は一切加えません。甘味の砂糖はオリゴ糖や黒糖、ハチミツなどでも代用できます。オリジナリティーを出すなら甘味をアレンジして試してみましょう。ドレッシングとしても活用できます。
【ハスカップジャム】
フルーツソースをさらに煮込めばとろみがついてジャムになります。水分が飛ぶと甘みが増すので、ハスカップの酸味を損なわないよう、甘味を入れ過ぎないのがコツです。ヨーグルトにピッタリです。
【ハスカップの塩漬け】
かなりマニアックなレシピですが、地元では昔から食されてきました。ハスカップをざるで洗って瓶に入れ、天然塩を入れて3日ほど冷蔵庫で寝かせれば食べごろです。そのまま食べると梅干しに似た爽やかな風味で、おにぎりの具材としてもおいしくいただけます。
【ハスカップサワー】
お酒としていただきたいのならば、前述のハスカップソースに炭酸と焼酎(甲類)、氷を入れて完成です。特に夏にはおススメのサワーです。
ハスカップの機能性向上:北海道大学による育種研究と健康効果の科学的探求
ハスカップに含まれる成分の研究は活発で、その健康効果を科学的に解明するための研究が行われています。北海道大学では異種のハスカップを交配して、機能性成分を強化したハスカップの育種の研究を行っています。(https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/11/–4.html)またサプリメントなど、さまざまな新商品開発のための品種改良も進められています。
まとめ
北海道のハスカップは、その美味しさと豊富な栄養で知られており、多くの健康効果が期待されています。寒冷な地域でのみ自生する低木のハスカップには抗酸化作用のあるアントシアニンをはじめ、ビタミンCや食物繊維などが豊富に含まれています。
この記事では、ハスカップの栽培環境、アイヌ語に由来する北海道の植物の歴史、そして健康維持に対するハスカップの抗酸化物質の重要性など、ハスカップに関する幅広い情報を提供しました。北海道の文化的な背景と合わせてその豊かな魅力を発見していただければ幸いです。
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