美唄やきそばとは!人気のヒミツと誕生から製造中止、復活までの物語
「美唄やきそば」探訪:北海道のユニークなグルメの旅
北海道の開拓が始まって100年余り。歴史的にはどこも伝統がなく食文化は本州に比べると浅いですが、一方で食の宝庫でもある北海道には各地のユニークなグルメが盛りだくさんです。この記事ではその中でも古くは炭鉱の町として栄えた美唄市の「美唄やきそば」について解説します。
北海道の美味しいソウルフードとご当地グルメ
北海道で最もよく知られているソウルフードと言えば「ジンギスカン」。羊肉を独特の形の鉄鍋で焼いて食べる焼き肉です。そのほかにも鮭を使った「石狩鍋」や「ちゃんちゃん焼き」なども有名です。地方に目を移すと、これまた各地のご当地グルメが目白押しです。釧路の「勝手丼」「スパカツ」、室蘭の「室蘭焼き鳥(豚肉)」、帯広の「豚丼」「インデアンカレー」、苫小牧の「ホッキカレー」、稚内の「チャーメン」、根室の「エスカロップ」「オランダせんべい」、旭川の「新子焼き」、小樽の「あんかけ焼きそば」…数え上げるときりがありません。
美唄の秘密: 知られざる超レアB級グルメ「美唄やきそば」の魅力
その中でも、美唄には美唄出身者なら知らない人はいない、食べたことがない人はいない、しかし美唄以外ではほとんど知られていないという、超レアなB級グルメがあります。それこそが箸も皿も使わず、手も汚さないで食べられる「美唄やきそば」です。この焼きそばはすでに茹でて味付けされているので調理の必要はありません。
シンプルだけど最高: 紅ショウガだけの焼きそばの秘密
どんな具が入っているの?なんて質問はまさに「具」の骨頂。大胆にスライスした紅ショウガだけです。しかし紅ショウガと相性の良いウスターソースをベースにした独自のタレが、茹でた麺に浸み込み、具がなくても満足できる「麺だけの焼きそば」なのです。
「美唄やきそば」の起源: 炭鉱夫のために生まれ、消えゆく命運を辿った一品
かつて、炭鉱の町として繁栄した美唄市で、製麺の老舗「角屋」が、炭鉱夫たちが汚れた手のままでも、箸を使わず、袋に口を付けておにぎり感覚で空腹を満たせるようにと、1970(昭和45)年にこの焼きそばを開発しました。これぞ「発明は必要の母」です。しかしその後、炭鉱の閉山が相次ぎ、この焼きそばも姿を消すことを余儀なくされたのです。
懐かしの味の復活: 「復刻版角屋の茹でやきそば」が再び脚光を浴びる
しかし、2005(平成17)年に二代目社長が、周囲の要望に応える形で当時の味をそのままに「復刻版角屋の茹で焼きそば」を復活させました。発売後、美唄市内の中高年や地方に住む美唄出身者から「懐かしい!」「昔と変わらない味」「ガキの頃を思い出す」などと、うれしい声が寄せられました。また独特の食べ方から、テレビや雑誌でも取り上げられ、再び脚光を浴びているのです。
多彩な味わい: 美唄焼きそばの新たな展開と楽しみ方
今は定番のソース味の他、麺に竹炭パウダーを練り込んだ真っ黒の「石炭やきそば」、ネギの甘みを効かせたシンプルな「塩やきそば」と、2種類の袋入り焼きそばをリリース。いずれも袋から直接食べられるおやつ感覚の焼きそばとして話題を呼んでいます。もちろん、野菜や肉と一緒にフライパンで炒めても、おいしくいただけます。
まとめ
北海道では札幌市以外の市町村にも多くの食の宝が散らばっています。その中でも特に目を引くのが「美唄やきそば」です。この記事では、美唄やきそばの歴史、特徴、復活の経緯、そして現在の展開について紹介しました。昔、炭鉱夫たちの空腹を満たすために作られ、時間の経過と共にその存在が薄れていった美唄やきそばですが、地域の愛と要望に応え、再び市場に登場しました。現在では、独特の食感と風味を持ち、多くの人々に愛されているB級グルメとして、新たな展開を見せています。
美唄やきそばの例は、地域の食文化がいかにコミュニティと繋がり、時を超えて人々の心を温かくすることができるのかを示しています。今後も美唄やきそばは、その魅力を広め、多くの人々の舌を楽しませ続けることでしょう。
テレビでも紹介されてましたね!