十勝発!牛とろフレークの進化の軌跡:逆境を乗り越えた安全と美味しさの秘話

十勝発!牛とろフレークの進化の軌跡:逆境を乗り越えた安全と美味しさの秘話

北海道・十勝から生まれた逸品、十勝スロウフード(清水町御影)の「牛とろフレーク」。発売以来、多くのグルメファンを魅了し、各地のイベントでも話題をさらってきました。しかし、2011年のユッケ食中毒事件を受け、製造方法の変更を余儀なくされることに。逆境を乗り越え、さらなる安全性と美味しさを追求した新たな牛とろフレークは、独自の非加熱製法を編み出し基準をクリア。今もなおその人気を誇っています。進化を遂げた新・牛とろフレークの足跡をたどります。

十勝スロウフードの牛とろの歩み|誕生からフレーク化までの進化と安全へのこだわり

十勝スロウフードの牛とろの歴史は1991年に始まりました。その最初の姿は牛の生肉を真空パックし、板状に成形して凍らせた「生食用食肉」でした。
流通当初は、お寿司屋さんで寿司ネタとして使われ、握りずし・軍艦巻き・手巻き寿司など、さまざまなスタイルで楽しまれていました。その後、お店でどんぶりご飯にそのまま載せられるよう四角い板状の形から円形へと変化。さらにお客さんが使いやすい・食べやすい形となるよう試行錯誤を重ねた結果、1997年に現在のようなフレーク状の牛とろ…「牛とろフレーク」が生まれたのです。

牛とろは誕生から20年間で約1,000万食以上を出荷。その間、一度も事故を起こすことなく「安全性」を最優先に慎重な製造を行ってきました。

激震の2011年|食中毒事件と規制強化で牛とろフレークが市場から消えた理由

2011年3月には新工場を建設、さらに高度な安全管理体制のもとで増産体制を整えました。ところがその矢先、同年4月21日に本州の焼き肉チェーン店でユッケなどを食べた客181人(同年5月15日時点)が腸管出血性大腸菌O-111による食中毒になり、5人が死亡、24人が重症となった事件が発生したのです。

この大規模な食中毒事件を受け、生肉の衛生管理基準が大幅に厳格化され、牛肉の生食が事実上不可能に。さらに同年10月に農林水産省は、生食用食肉の規格基準を大幅に変更。「枝肉から衛生的に切り出された肉塊を、速やかに気密性のある容器包装に入れ、密封し、肉塊の表面から深さ1cm以上の部分までを60℃で2分間以上加熱する方法又はこれと同等以上の方法で加熱殺菌後、速やかに4℃以下に冷却すること。また、加熱殺菌に係る温度及び時間の記録を1年間保管すること」などと規制を強化したのです。

これにより、十勝スロウフードは従来の製法で作る牛とろフレークは販売できない状況に追い込まれ、牛とろフレークをはじめとした同社の「生食用食肉としての牛とろシリーズ」は約20年の歴史に幕を下ろし、一時的に市場から姿を消しました。

妥協なき挑戦|非加熱製法で甦った牛とろフレークの美味しさと安全性

新たな製法を模索する中、新基準に沿ったやり方で肉塊の表面を1cm以上加熱すると、牛とろフレーク特有の脂がとろける美味しさが失われ、これまでの味わいを維持できないことが判明。そこで新基準に合わせて妥協するのではなく、牛とろフレーク本来の味わいを活かせる別の方法を探す方向に舵を切ったのです。

長年、ハムやソーセージなど加工食肉の製造に携わってきた創業者(藤田惠・前代表取締役)が編み出した独自の非加熱製法により、限りなく“生”に近い味わいを実現しつつ、安全性にも徹底的にこだわった製品ができ上がりました。

その製法は「非加熱食肉製品」という食品ジャンル。つまり、生ハムの製造に近い製造方法です。この非加熱製法では、牛肉に加え、食塩や発色剤を使用し、塩漬(えんせき)など新たな工程が加わるため、従来より製造に時間がかかります。しかし、加熱を一切行わないため、牛とろ本来の味を保ちつつ、食品衛生法の規格基準を満たすことが可能となりました。

安全性への徹底したこだわり|北海道HACCP取得の牛とろフレークはなぜ支持されるのか

新・牛とろフレークの製造工程は、地元の保健所と綿密に連携し、安全基準をクリアするための製造プロセスを一つひとつ考え、改良を重ねながら作成。さらに、牛とろフレークを製造している自社工場は「北海道HACCP」を取得。行政に認められた安全性の高い環境で製品を製造しています。

また消費者に安心して食べていただくため、食品衛生で最も重要な「食品の規格基準」に基づいた微生物検査を製造ロットごとに実施。十勝スロウフードの安心・安全へのこだわりを満たした製品だけを生産しています。

新・牛とろフレークが発売になった以降も、人気は継続。数々の受賞歴を誇っています。以下にそのいくつかを紹介します。

 

■全国ご当地どんぶり選手権 グランプリ受賞
2023年1月、全国のご当地どんぶりが集結する「全国ご当地どんぶり選手権」が東京ドームにて開催。会場では多くの来場者に「十勝牛とろ丼」を食べていただき、9回目の挑戦にして悲願のグランプリを獲得。

■「地場もん国民大賞」 銀賞受賞
日本を代表する多種多様な優れた地域食「地場もん」を決定する「地場もん国民大賞」で銀賞を受賞。

■「まんパク」3年連続 金賞受賞、殿堂入り
毎年東京都立川市で行われていた「まんパク」で、2017年~2019年の3年連続で人気投票第1位の「金賞」を受賞。まんパク初の殿堂入りを果たす。

命の恵みを無駄にしない|十勝スロウフードが守り続ける牛とろフレークへの想い

十勝スロウフードと共に約30年の歴史を歩んできた牛とろシリーズは、2011年に大きな転換期を迎え、生食用食肉から非加熱食肉製品へと生まれ変わりました。創業以来、一貫して大切にしてきた変わらぬ想いは「健康に育った牛を食べて頂きたい」。北海道、十勝清水の地で生まれた、かけがえのない理念です。

十勝スロウフードの原点は「牛1頭に備わっている命のエネルギーを何ひとつ無駄にはしたくない」という深い想い。この想いは、十勝スロウフードで生み出されるすべての商品に脈々と受け継がれています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です