知られざる北海道そばの秘密!風味が濃い理由とは
「信州信濃の蕎麦よりもあたしゃあなたの傍がいい」。蕎麦といえば信州(長野県)が有名ですが、ほかにも福井、茨城、山形の各県も国内ではよく知られた産地です。本州でソバの栽培に適しているのは冷涼な内陸の高地です。冷涼な気候と言えば北海道。そう、北海道のソバの生産量はダントツで、国内生産量の半数近くが北海道産です。幌加内町や羊蹄山麓の町村、道東の十勝などで多く生産されています。昼夜の寒暖差が大きく低湿な気候の北海道で育ったソバは風味、甘みが濃いのが特徴。歴史は浅くとも、とても味が濃くて美味しいのです。本稿では日本の伝統食「そば」について考察します。
寒暖差が生む美味しさ!北海道産ソバの魅力
ソバに限らず、ほとんどの農作物に共通して言えるのが昼夜の寒暖差が大きいほど、植物は甘く風味が濃く、そして強く元気に育つということです。強く育つためには体内にエネルギーを蓄えなくてはなりません。そのエネルギーが旨味、甘みとなるのです。また元気に育てば病気にも強くなります。農薬や化学肥料は最小限に抑えることができるので、安全・安心でもあるのです。ソバは元々あまり暑い気候には適しておらず、北海道の平野部や盆地、本州では標高の高い地域の気候に合っています。北海道は耕地面積が広いので、生産量が全国一というのも、当然のことでしょう。
便秘解消!蕎麦は伝統的な健康食、美容食
蕎麦に含まれる成分は以下のような健康効果、美容効果をもたらしてくれます。
生活習慣病の予防:ポリフェノールの一種であるルチンは、毛細血管を強化し、血圧や血糖値を下げ、すい臓機能を活性化する働きがあります。動脈硬化や糖尿病、脳梗塞などの予防に効果的です。
コレステロール値の低下:水溶性食物繊維が多く含まれているため、体内のコレステロールの量を減らす働きがあります。
腸内環境の改善:食物繊維が豊富に含まれているため、腸内環境を整え、便秘の予防に効果的です。
ダイエットのサポート:タンパク質が豊富に含まれているため、筋肉の分解を防止し、代謝を改善するのに役立ちます。
脳の記憶保護:ルチンには脳の記憶細胞を保護、活性化する働きがあります。
抗ウイルス・抗菌作用:カテキンが豊富に含まれているため、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎や、コロナ、O-157予防に効果を発揮します。
蕎麦はカロリーが比較的低く、ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
美味しい蕎麦乾麺の選び方!成分表で見極めるコツ
蕎麦はだいたい乾麺、半生麺、ゆで麺、冷凍麵の4種類ありますが、家庭では乾麺を食べる機会が多いのではないでしょうか。賞味期限も長く、使いやすい食材です。スーパーの乾麺コーナーにはさまざまな蕎麦の乾麺が並んでいます。
蕎麦の乾麺は、通常「つなぎ」として小麦粉が入っています。食品の裏に貼ってある成分表は、含まれている原材料が多い順に記載されていますが、蕎麦の乾麺のほとんどは「小麦」から始まっています。蕎麦なのにつなぎとして混ぜる小麦の方が多いというのに驚きますね。
おいしい蕎麦の乾麺は成分表の一番先に「そば粉」と記載しているものを選ぶのがコツです。商品名にも「十割」「二八」などがついていればなお安心です。
本物に近い蕎麦とは!身近で買える蕎麦の生麺
家庭で食べる場合はやはり、生麺が一番手打ちに近い食感が得られます。実際に蕎麦店で食べる蕎麦も、店主が早朝もしくは前日に作り置きした生蕎麦です。ただ、蕎麦は切れやすいのでスーパーで売られている生めんの大半は乾麺と同様、小麦粉の含有が多い商品です。最近は通販で生麵を扱うサイトがいくつかあるので、ちょっとお高いですが、おいしい蕎麦にこだわるなら、ぜひそば粉の含有量が多い蕎麦を購入してみてはいかがでしょうか。
超時短!手軽に食べられるゆで麺
ゆで麺は一度ゆでてあるので、さっとゆでるだけですぐに食べられます。駅の立ち食い蕎麦はだいたいこの麺を使っています。味や食感にこだわらなければ、十分に満足できるでしょう。ゆで麺は温かい蕎麦に向いています。つなぎの小麦粉が多く入っていますが、濃い目のつゆに天ぷらなどを乗せれば、侮れない美味しさです。
蕎麦通必見!三たて・四たての新そばの魅力
美味しい蕎麦を表す格言に「三たて」という言葉があります。挽きたて、打ちたて、茹でたての3つの「たて」です。中には収穫されたばかりの新ソバを求め、「刈りたて」も加えて「四たて」にこだわるファンもいるようです。ここまでくればかなりの蕎麦通といえるでしょう。そのためには秋10月ごろに、「新そば入荷」と張り紙している手打ちそばの蕎麦店で食べる、趣味で蕎麦を打っている知り合いを探す、究極は自分で蕎麦打ちを始めるしかありませんね。
十割そばの魅力と二八そばの喉越しを比較
蕎麦通の中には「十割そば以外は認めない!」と十割にこだわる人も多いようですが、あながちそうでもないようです。というのは、やはり十割だとどうしても蕎麦特有の「ぼそぼそ感」「ざらざら感」が残ります。これはかなりの上級者が打ったとしても、拭うことはできません。その食感がいい、その食感こそがおいしいそばの証である、と言われればそれまでですが、蕎麦好きには「つるつる」とした喉越しに重きを置く人もいます。好みは分かれるようですが、つなぎは2割まで、つまり十割から二八までであれば、良しとしましょう。
蕎麦好き必見!本格だしで味わう自家製麺つゆ
どうしてラーメン屋さんはスープづくりに命を懸けるのに、蕎麦好きは麺にばかりこだわるのか。蕎麦の味や香りはとても薄く、上品です。その分、満足度の半分はだし汁の味が左右すると言えるでしょう。今はスーパーで美味しい麺つゆが売られていますが、せっかく蕎麦を楽しむなら、ぜひ自家製のそば汁を作ってみてください。麺つゆを薄める水に昆布や煮干しを浸したり、鶏肉を茹でてお湯ごと加えるだけで手軽にできるので、試してみてください。