北海道特産・長イモの秘密: 栽培から栄養、おいしい食べ方まで完全ガイド
農家のおじさんに聞いた長いものあれこれ話
「長イモ」は山芋の一種で、都道府県別生産量は北海道が一位。特に道東の十勝地方が主産地で、台湾などへ輸出している地域もあります。長イモは育てるのに手間がかかるので、ほかの野菜に比べて少し高めですが、味と栄養価ともに値段の価値が十分にあります。
栽培方法はまず真っすぐ育つよう、地中深くまで畑を起こし、土を柔らかくしなければなりません。茎は自立しないので支柱も立てなければなりません。収穫方法は折れやすいので、1本1本丁寧に手作業で掘り出します。北海道の場合、晩秋に掘り出す秋掘り、一冬地中に寝かせて春に掘り出す春掘りがあり、通年で出荷が可能です。輸送の途中で折れないよう、箱詰めにはおが屑を緩衝材として入れます。
山イモの栄養価
山イモには自然薯(じねんじょ)、長イモ、つくねイモ、イチョウイモ…いろいろな種類があります。ジアスターゼなどの消化酵素が豊富に含まれ、生で食べられます。またジアスターゼはでんぷんの一部を分解させるため、消化すると胃腸がよく働き、血流もよくしてくれます。活発な血行で新陳代謝が高まることで身体に不要なものが排出され、さらに代謝がよくなります。
古くから中国では漢方薬の原料や薬膳料理の食材として利用され、滋養効果があるといわれています。北海道・十勝地区のJAかわにしは、台湾へ輸出しており、輸出量は年々増加の傾向にあります。
長イモの特徴
長イモは形状がスラリとしているため、とても扱いやすく調理しやすいのが大きな特徴です。ほかの山イモ類に比較すると多少粘り気が少なく、摺(す)るとサラリとしています。摺ってご飯にかけて食べる「とろろかけご飯」は定番中の定番。ほかに輪切りにしてバターで炒めても、蒸しても、煮物に入れても、刻んで酢の物にしても、お好み焼きに入れても、どんな料理にも合う万能食材です。
摺り方、おろし金にも違いあり!
とろろご飯の作り方は簡単です。長イモを摺って醤油(しょうゆ)などで味付けしてご飯にかけるだけです。卵を入れたり、醤油の代わりに麺つゆを入れても美味しくいただけます。
ただ摺り方やおろし金により、食感が変わってきます。刃の鋭いおろし金であまり力を入れず、ゆっくり優しく摺ることで、きめの細かいとろりとしたとろろになります。また荒く摺った場合でも、すり鉢で摺ることでふわっとした食感になります。
皮は食べるべきか否か!
長イモは形状が単純なので、ピラーで容易に皮を剥(む)くことができます。しかし、身と皮の間に、とても多くの栄養素が含まれているので、皮を剥いてしまうのは「もったいない食べ方」です。スチールのたわしなどで表面の土と汚れを取り、皮は剥かずに調理してください。皮ごと摺ることでうまみ、粘りが増します。
ワンランク上の長イモ「ネバリスター」
普通の長イモより、粘りが強く甘みのある「ネバリスター」。長芋と大和芋との掛け合わせにより、両親のいいところだけを受け継いだ新しい品種の長イモです。栽培法が難しく、育てる農家も少ないため、かなりのレア商品で、ほとんど市販されていません。
一度でいいから騙されたと思って食べてみて!
長イモは味噌とも相性が抜群です。一般的なとろろかけご飯は醤油(麺つゆ)と玉子ですが、味噌を溶けやすいよう、お湯で少し伸ばし、刻みネギと刻み海苔で食べるとろろかけご飯もおいしいです。昭和の初めに子どもが多い家庭では、少ない長イモを増やすためにみそ汁で伸ばしていたのが、このレシピの由来です。