北海道の新名物!「ハピまん」の開発秘話!こうしてチーズ饅頭は誕生した。
中華饅頭といえば「あんまん」「肉まん」が2大巨頭ですが、今日本で一番有名と言っていい饅頭が北海道・十勝にある「ハピまん」ではないでしょうか。十勝の音更町にある農協「JA木野(きの)」が運営するHapio(ハピオ)のPB(プライベートブランド)商品として開発。2019年春に販売したところ、地元から火が付き、一気に話題となりました。新聞やテレビで何度となく取り上げられ、瞬く間に人気は全国区にのし上がりました。今や押しも押されもせぬ「ハピまん」について、Hapio取締役生活事業部長兼店長補佐の赤間宏さんにヒットまでの経緯を聞きました。
━「ハピまん」の発想の根源を教えてください。
ハピまん誕生秘話:ユニークなチーズ饅頭が生まれた瞬間
従前よりHapioには豆腐や豚丼のタレ、餃子など、PB商品はありましたが、5年ほど前に「ハピオフーズ」としてブランドを立ち上げ、本格的に新商品の開発、製造、販売を行うようになりました。2018年に地元の物産協会、食品加工業者と出会う機会があり、「何か新しいPB商品を作って名物として売り出したいが、どんなものがいいだろうか」などと相談していました。当時人気だったのが韓国のハットグ。それにヒントを得てひらめいたのがこの「ハピまん」でした。
━当初から北海道産100%だったのですか。
ハピまんの原材料:北海道産チーズの使用とその課題克服
地元の原料を使いたいという考えははずせなかったので、十勝と言えば「小麦でしょ!乳製品でしょ!」ということで、チーズの入った饅頭で話がまとまりました。依頼した加工業者の本業は食肉加工ですが、最近饅頭の製造も手掛けており、技術が高かったので、発想から製造まではトントン拍子で進みました。チーズは当初、「伸びる」というところにこだわったので、北海道産とオランダ産のチーズを混ぜ合わせて作りました。本場ヨーロッパのチーズなので抵抗はなかったですが、北海道産100%ではないということが課題としてありました。
また皮にも工夫を凝らしています。チーズは塩分を含んでいるので塩味です。一方、皮には甘みを加え、塩味と甘みのバランスをとることで、より美味しくなります。単純に砂糖を入れるのではなく、しっとり感を出すために水あめを入れました。
━当初の売れ行きはどうだったんでしょう。
ハピまん初期の反響と市場への影響
地元の産物を主原料にしているので、原価もそこそこ高くなり、その分売値も高くなってしまいました。饅頭系はコンビニのレジで安く買えるので、この価格で果たして売れるのか、不安があったのは事実です。2019年4月、最初に2000個を製造して売り出しました。ところがふたを開けてみれば、皆さん「美味しい」と言って、まとめ買いするお客様が多かったです。北海道ローカルのテレビで紹介され、さらに拍車がかかりました。店の駐車場は早朝から地方ナンバーの車が並び、開店時間を待っているほど。週末の開店前には100人ほどの行列を作り、対応に追われました。うれしい悲鳴です。その後、落ち着くまで、数量制限して販売していました。
━2022年9月にリニューアルしたそうですね。
ハピまんリニューアル:100%北海道産チーズへのシフト
そうなんです。やはりチーズが100%地元産で作りたいという気持ちをずっと持っていました。コロナ禍が長引き、地元酪農家の乳量生産が下降気味でしたので、北海道内のチーズを100%使うことで「地元の食材だけを使っています」と謳えると同時に、地元の酪農家を応援することにつながると考え、輸入チーズから道産チーズに切り替えました。
ハピまんにはゴーダ、チェダー、モッツァレラのチーズが入っていて、3種のチーズの配合割合を変えることで、従来よりコクが増し、伸び具合も変わらない饅頭になりました。名づけて「SUPER PREMIUM BLEND ハピまんチーズ」です。
━振り返って思うことは?成功の秘訣は?
ハピまん成功の秘訣:品質と地元へのこだわり
今思えば少数精鋭、短期決戦でやったことがよかったと思います。いろいろな意見があることは悪いことではありませんが、決断が遅れる、前に進みずらいこともあります。よし!これで行こう!と一致したら、意識が高いうちに一気に突き進めたのが奏功したと思います。また「地元の食材」にこだわりをもちながらも「味」を重視したのがよかった。消費者の味覚に認められなければ自己満足で終わってしまう。ハピまんから学びました。
━今後はどのような展望があるのでしょうか。
ハピまんの未来計画:新フレーバーと季節限定商品の開発
私たちは決してこれで終わりとは思っていません。今後も引き続き「もっと美味しく」を目指します。またチーズのほかにいろいろな饅頭を提案したい。定番ではなくても季節限定などでチャレンジし、売れれば定番商品にする…など、地元素材の美味しい食品づくりに努めます。大いに期待していてください!
ライターから
仕事柄、何度もハピまんを食べていますが、やはり最高です。何度食べても美味しく感じられます。お腹がすいていなくても美味しいです。よくぞ作ってくれました!
ご用命は当サイト「食ベレア北海道」へ!